頬袋いっぱいにエサを詰め込むハムスター。
ずっと見ていられる可愛さですよね^^
しかしこの頬袋、トラブルも起きやすいのです。
皮膚の内側にたくさんの血管が走っている頬袋は、とてもデリケートな場所。
尖ったフードや床材で傷ついたり、長時間入れっぱなしのエサが腐敗して炎症を起こすことも珍しくありません。
今回は
- ハムスターの頬袋に起きやすい3つの病気
- 頬袋の役割
- ハムが頬袋からごはんを出そうとしないときの対処法
について解説。
ハムスターの頬袋は病気になりやすい部分ですが、幸いにも「症状に気がつきやすい」という特徴があります。
ハムスターを怖い頬袋トラブルから守れるよう、頬袋の病気の種類や、それぞれの性質について理解を深めておきましょう。
ハムスターの頬袋が腫れているとき考えられる病気
ハムスターの頬袋が腫れているときは、おもに
- 頬袋脱
- 頬袋膿瘍
- 頬袋腫瘍
の3つが疑われます。
順番に見ていきましょう。
頬袋脱
ハムスターの頬袋トラブルで真っ先に思い浮かぶのが、この頬袋脱ではないでしょうか?
炎症を起こした頬袋が、口の外に飛び出してしまう病気です。
症状は?
主な症状は
- 頬袋が口外に飛び出している
- ハムスターが気にして頬袋を噛む
など。
頬袋が出ているとハム自身も気になってしまうもの。
嚙んだりいじることによって、さらに炎症が広がることもあるでしょう。
原因は?
頬袋の粘膜が炎症を起こし、腫れあがった状態で反転してしまうことが原因。
炎症が起こるきっかけは腫瘍や細菌感染によるものと、フードを起因とする場合の2つがあります。
べとついたり、口内で溶けるエサは粘膜に貼りついて取り出せなくなることも。
当然、しばらくすると体温で腐ってしまいます。
またハム自身が気になって何度も頬袋を押すことで頬袋脱になる場合もあるでしょう。
予防は?
炎症を起こすようなフードを与えないことが第一です。
べとつくエサや炊いたご飯、尖ったフードなどが当てはまります。
治療は?
軽度であれば濡らした綿棒で戻す方法もありますが、私たち素人がやるのは怖いものがあります。
やはり病院で診てもらうのが一番安心です。
病院では頬袋を戻したうえで、再発防止のため固定することが一般的。
再発をくり返す場合は、全身麻酔で頬袋を切除することもあるでしょう。
頬袋膿瘍(のうよう)
頬袋に炎症が起き、腫れて膿が溜まる病気。
ハムの頬袋はごはんを蓄えるためにあるので当然膨らみますが、膨らみっぱなしは異常です。
症状は?
よく見られるのは
- 頬袋が膨らむ
- 口から悪臭がする
- 触るとフードとは違った感触がある
など。
頬袋の炎症により、目ヤニが出ることもあるでしょう。
膿が溜まっているので、イヤな臭いがします。
原因は?
何らかの理由で傷ついた頬袋が細菌に感染することで起こります。
尖ったエサなどで粘膜が傷つき、そこから細菌感染するパターンがもっとも多いでしょう。
予防は?
免疫力が下がっていると細菌感染しやすくなるもの。
温度管理や衛生管理を徹底し、基礎的な体力が落ちないように心がけましょう。
危険なフードや床材を避けることも必須。
チモシーなどの牧草は、先が尖っているため安全性に欠けます。
綿やティッシュも頬袋にくっついて危ないので、床材には不向き。
床材はハムスターが口に入れるかもしれないことを前提に選びましょう。
治療は?
抗生物質を服用しますが、これだけでは不十分。
切開して膿を出したうえで消毒するのが一般的です。
症状がひどい場合は、頬袋摘出の可能性も。
なお、頬袋トラブルが原因で歯の嚙み合わせが悪くなると“歯切り”が必要になることもあるでしょう。
頬袋腫瘍
頬袋に腫瘍ができるのが頬袋腫瘍。
ハムちゃんは腫瘍になる率が高く、1歳を過ぎたら珍しいことではありません。
症状は?
主な症状は
- 頬袋が膨らんだまま
- 食欲低下
- 目ヤニ、涙目
など。
腫瘍は頬袋の内側、外側、頬袋のすぐ近くと、どこにでも起こります。
目ヤニ、涙目など、目に症状が現れることも特徴。
頬袋を使えなくなるため、エサを蓄えなくなるでしょう。
原因は?
腫瘍のはっきりとした原因は分かっていません。
老化や遺伝のほか、普段の飼育環境の積み重ねが影響している可能性も。
予防は?
「これ」といった予防策も、残念ながら無いのが現状です。
できることは、環境整備とバランスのよい食事、ストレスをなるべく与えないことでしょう。
また病状が進行すると治療も困難になるので、早期発見も大切。
毎日ハムちゃんの体に触れて、しこりがないかチェックしましょう。
なお、騒音や不適切な温度のほか、深夜まで明るい部屋にいることもストレスになります。
ケージの置き場所が適切か、いま一度チェックしてみてくださいね。
参考記事:
治療は?
完治させるには、腫瘍を摘出するしかありません。
ただし、高齢ハムや病気が進行しており体力がない、多量の出血が予想される場合は手術ができないでしょう。
手術が不可能なときは、抗生物質や消炎剤の服用など内科的治療にとどめます。
できるだけ普段から健やかに育ててあげたいものですね。
ハムスターの頬袋は何のためにある?
トラブルも起きやすいハムスターの頬袋。
一体何のために備わっているのでしょう?
そもそも頬袋は食べ物を一時的に蓄えておく場所。
食料探しに行ってゲットしたごはんを、一旦頬袋にしまい込んで巣穴に帰るわけです。
ちなみにこの頬袋、最初はただのシワだったのをご存知でしょうか?
偶然見つけたシワを使い込むうちに、今のように大きくなっていったのだとか。
「頬袋が大きくなって一度にしまえる量が増えたから、食料採取の回数がグンと減ったんだ!」
これぞ生き延びる秘訣ですね^^
ハムスターの頬袋に餌が残っているときの対処法
ハムちゃんて結構うっかり屋さんです。
それゆえ、自分が頬袋にごはんをしまっていることすら忘れてしまうこともあるのだそう。
先にお伝えしたとおり、頬袋に残ったままのフードはトラブルのもとです。
可能であれば飼い主さんのほうで取り除いてあげたいもの。
とはいえハムちゃんの口に手を突っ込むのは危険なので、頬袋を後ろから押してあげましょう。
頬袋は体の3/1の大きさにもなるといわれ、背中のあたりまで膨らみます。
そこを口の方向に優しくプッシュしてみてください。
何度もトライしているとハムちゃんの負担になるので、諦めて病院へ行きましょう。
ハムスターの頬袋が腫れる原因を知り、適切に対処しよう!
ハムスターの頬袋が腫れる病気は主に
- 頬袋脱
- 頬袋膿瘍(のうよう)
- 頬袋腫瘍
の3つ。
それぞれの病気についてポイントをまとめます。
- 頬袋脱は、頬袋が炎症を起こして反転すること
- 頬袋膿瘍は、頬袋に膿が溜まる病気
- 頬袋腫瘍は、腫瘍が頬袋にできてしまう状態
- 頬袋脱と頬袋膿瘍の予防には、尖ったフードや床材を使用しないこと
- 腫瘍の原因は解明されておらず、これといった予防策もない
血管も集中しているうえ、使う機会の多い頬袋はどうしても傷つきやすいもの。
そこに細菌が感染すると様々な病気を引き起こします。
頬袋を傷つけるおそれがあるフードや床材を避け、衛生管理をしっかりしましょう。
腫瘍に関して特段の予防策はありませんが、快適な暮らしとバランスの良い食事はあらゆる病気の予防になります。
日頃からストレスをなるべく減らし、のんびりと過ごさせてあげましょう^^