ハムスターが耳をひっきりなしに掻いている場合は、耳の病気が潜んでいる可能性があります。
我が家のシナモン(ジャンガリアンハムスター♀)も、しきりに耳を搔いていた時期があり、診察の結果「中耳炎、もしくは内耳炎」とのことでした。
たとえば
- 耳をかゆがる
- 耳が赤い
- 耳が汚れている
- 耳から悪臭がする
- 耳の後ろの毛が薄い
- 頭をさかんに振る
などの症状が見られたら外耳炎、中耳炎・内耳炎、耳の腫瘍の疑いがあります。
外耳炎などは直接的に命に関わる病気ではないですが、掻きすぎて耳が切れたり、放っておくと目や鼻に炎症が移ることも。
また腫瘍は体のあちこちにできやすいため、耳にできることもあるでしょう。
ハムスターを守るためには、耳の病気について正しく理解することが大切です。
本記事では
- 外耳炎
- 中耳炎・内耳炎
- 耳の腫瘍
について解説します。
それぞれの症状、原因、対策、治療をまとめているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ハムスターが耳をかゆがるとき考えられる3つの病気
冒頭で触れたとおり、ハムスターが耳をかゆがるときは
- 外耳炎
- 中耳炎・内耳炎
- 耳の腫瘍
の3つの病気が疑われます。
順番に見ていきましょう。
外耳炎
ハムスターが最もかかりやすい耳の病気です。
強いかゆみがあり、見ていても辛そう。
症状は?
- かゆがってしきりに耳を掻く
- 膿のニオイがする
- 耳の後ろが脱毛する、または出血がある
などの症状が出ます。
ひどくなると食欲低下を招くことも。
痩せていくのはもちろん、免疫力が落ちて感染症にかかったり、体温維持が困難になる場合もあります。
このような二次被害につながらないよう、早めに病院へ行きましょう。
原因は?
細菌に感染して、外耳が炎症を起こします。
感染経路は主に、傷口からの感染と、不衛生な環境による感染の2つです。
溜まった耳垢に細菌が繁殖して感染の原因になることが多いですが、かといって飼い主さんによる耳掃除は危険。
私たち素人の耳掃除は耳を傷つけやすく、この傷も感染の一因になるからです。
耳掃除は獣医さんにお願いしましょう。
予防は?
掃除をしっかりすることが第一です。
特に雑菌が繫殖しやすいトイレ砂は毎日交換してください。
ケガをしないケージ選びと、レイアウトを意識しましょう。
参考記事:
構いすぎ、不適切な温度もストレスになるので気をつけてください。
日頃から栄養バランスのよい食事を用意し、体力をつけましょう。
治療は?
耳掃除をすると同時に、抗生物質や点耳薬を症状に合わせて投与します。
外耳炎の影響で首の後ろに液体が溜まっている場合は、液体を抜く処置をすることも。
膿が目や鼻に移ると完治が難しくなるので、早めに診察を受けましょう。
中耳炎・内耳炎
外耳炎が進行した状態です。
原因や予防法は外耳炎とほぼ一緒ですが、症状はひどくなります。
症状は?
- ふらふらと歩く、足を引きずる
- しっぽをめがけてクルクル回る
- 耳から膿が出る、悪臭がする
外耳炎の膿が三半規管に達することで平衡感覚に支障をきたし、歩き方がおかしくなる状態です。
原因は?
細菌に感染し膿が溜まることで起こります。
傷口から、あるいは不衛生な環境によっても感染するでしょう。
飼い主さんの耳掃除で傷つけてしまうことも要因の1つ。
風邪をひいて免疫力が低下したり、ストレスが溜まることも原因になります。
予防は?
こまめな掃除で、ケージ内を清潔に保ちましょう。
しかしやりすぎは禁物。
ハムちゃんは嗅覚が優れているため、自分のニオイがしなくなることは返ってストレスになります。
雑菌が繫殖しやすいトイレ砂は毎日交換しますが、床材は1/3残して2~3日に1回の交換にとどめましょう。
回し車などの飼育グッズをすべて外しての大掃除は、月1~2回が適切です。
そのほか、ケガをさせない、風邪をひかせないことも重要。
構いすぎや、不適切な温度設定によるストレスにも気をつけてくださいね。
治療は?
中耳・内耳は鼓膜の奥にあり、点耳薬は届かないため抗生物質の服薬が効果的です。
炎症がひどい場合は切開して膿を出すことも。
自宅でできるのは、栄養価が高いものを食べさせることです。
清潔かつ静かな環境でゆっくり休ませてあげましょう。
耳の腫瘍
耳に限らず、ハムスターの体にしこりができた場合は
- 膿瘍(のうよう)
- 血腫
- リンパ腫
が疑われます。
1つずつ見ていきましょう。
膿瘍(のうよう)
皮膚の下に膿が溜まる病気。
チーズのように、白くドロドロした乾酪状の膿が溜まります。
触るとコリコリしているのも特徴の1つです。
膿瘍は細菌感染が原因なので、日頃から衛生管理に気をつけましょう。
早期発見・早期治療で回復する病気なので、すぐに病院に連れて行ってくださいね。
血腫
実はうちのハムも経験したことがある血腫。
先ほどの膿瘍は膿が溜まる病気、血腫は血が溜まる現象です。
赤黒く腫れて、触るとブヨブヨしているのが特徴。
ペンだこや靴擦れのようなもので、いわゆる「おでき」です。
↑我が家のハムの実際の写真がこちら。
血腫は、外傷や内出血により血が溜まることが原因です。
ケガをさせないように金網や二階建てのケージは避け、段差は無くすなどケージ内のレイアウトにも気を配りましょう。
そのほか、内臓疾患が原因で内出血し、そこが血腫になったり、ハム自身が毛づくろいの際に爪で傷つけてしまうこともあるでしょう。
血腫は、軽いものであれば自然治癒します。
炎症が重ければ消炎剤を投与したり、破裂しそうな大きさの血腫には切開手術も。
自宅でできることはないので、すぐに病院へ行きましょう。
リンパ腫
リンパ球という血液細胞が腫瘍化したもので、悪性腫瘍に分類されます。
- 成長するしこり
- 体の表面に、かさぶたや脱毛
- 強いかゆみ、膿のニオイ
などの症状が特徴。
成長のスピードが速く、しこりがどんどん大きくなるにつれ、食欲低下や元気がなくなります。
リンパ腫は、はっきりと確定された原因がありません。
ゴールデンハムスターに多く見られることから、遺伝的体質が影響している可能性はあります。
また1歳半を過ぎると特に増えるので、年齢による免疫力の低下も一因でしょう。
リンパ腫には「これ」といった予防策はないので、衛生管理と栄養管理を心がけ、ストレスをかけないことが大切。
なお、リンパ腫の治療は
- 手術
- 抗がん剤
- 免疫賦活剤(ふかつざい)
- 消炎剤
がありますが、その特性から「完治」は難しいとされています。
どの治療も「完治ではなく痛みを和らげるためのもの」になるので、よく考えて治療方針を決めましょう。
参考記事:
ハムスターが耳をかゆがる原因を知り、適切な処置をしよう!
今回のまとめです。
- ハムが耳をかゆがるときは耳の病気と腫瘍の可能性がある
- 外耳炎や中耳炎・内耳炎は細菌感染が原因
- 耳のしこりには膿瘍、血腫、リンパ腫の3つがある
- リンパ腫には具体的な予防策がない
- どんな場合でも、衛生管理と栄養管理は大切
外耳炎、中耳炎・内耳炎をふせぐためには、こまめな掃除で清潔を保ちましょう。
また耳にしこりができた場合も、かゆみをともなうことがあります。
しこりの中でも膿瘍、血腫、リンパ腫と分かれているので、病院で正確な区別をしてもらい、それぞれに合った処置をしましょう。
なお、ストレスは万病のもと。
お世話は素早く済ませる、ふれあいタイムは短時間にするなど、ハムちゃんのペースを崩さないように心がけてくださいね^^